設計事務所「銀の森」の接客室のステンドグラス製ランプの置き台として製作を頼まれた図面収納兼用のキャビネットです。引出しには用紙類、ドア内はファイルが入るので内寸厳守です。材は設計士さんの手持ちの丸太挽きの板でこの頃ではあまり大きなものは手に入らないケンポナシです。メープルとタモのちょうど中間のような質感で、特に今回扱ったものは小径で目がうねっていたものですからうちの自動鉋機では材送りのスピードが速すぎて研磨したての刃物をギリギリまで裏をつめるようにセットしても逆目が掘れて難儀しました。４０〜３５ミリ厚の板をそのまま組めばかなりごっついものになっておかしいですから甲板・帆立は３０ミリに割って落としは背板・地板・棚板に使っています。実際にはこのサイズでは３０でも見た感じは重いので今回諸所に段しゃくりを入れているのは少しでもスマートに見せたいという判断からです。

　上に乗るランプを引き立てるのと半ば展示品なのでちょっと賑やかになってもいいだろうと考え甲板止めはおかしな形の片蟻ホゾ。両蟻にしなかったのはこれ以上細くすると板の接ぎ目のヤトイが見えてしまうからです。引き手はウォルナットで半円のものを作りました。凸凹がないこのような形のものに上手く合ってしかも丈夫で引きやすいものを木で作るとなるといつも頭を抱えてしまいます。

　扉内には中仕切りがありその片側のみ棚板が１枚入ります。この幅のものでは構造上問題はないので後々使い勝手がいいように取り外しできるものとしました。塗装はリボスのアルドボスです。

　（追記） 古くなったデジカメがこの頃白内障気味に調子が悪くてこのページの写真はたまたま人から借りたもので撮りました。感度がいいのでびっくりです。しかし完全に故障するまでは使い続けるつもりでいますのでじきにまた元に戻ると思います。