なるべく直線を基調にとのご要望でデザインを依頼された椅子です。厚板のテーブルに組ませるのでバランス負けしないようにと思いましたが余り重くなるのも不便ですので難しいです。前脚は４５×４０角、後ろ脚は４０角ですがくの字に折れています。背は肩甲骨の下くらいの位置のハイバック、横木は積層曲げです。座板は手前２枚は３２ミリ厚、座繰りが深いためです。先側１枚は２４ミリでこの一枚はそれを支える幕板を３度分斜めに削って角度をつけて設置します。見た目のアクセントと掛け心地をよくするためです。

　今回の椅子の大まかなレイアウトはお客さんのお話からスムーズに決まったもののナラの板座をどう掛け心地いいものにできるかが浮かびませんでした。座繰りをいれるにしろ周囲の直線に馴染むようにするには具体的にはどうデザインするか案はいろいろ出るもののもう一つパシッときません。まん丸というのも子供っぽいですし。板をあえて分割したのは削りを楽にしたいからという理由もあったのですが板の収縮を見越して使う金具を隠すために幕板を回すことから開放されて横木をより合理的な位置に付けたいのと重い椅子を少しでも軽快に目に映るようにしたいと考えたためです。