以前からお世話になっているお客さんのご親戚のご新築のお宅のキッチン収納です。オーソドックスな食器棚と高さを合わせた脇収納の組み合わせ。後でパターンを変える事もできるように３点にバラせる作りです。現場で採寸していただいて大きな窓や勝手口の上がりかまち、天井にある梁の出っ張りを上手く避けるよう数字を書いていただきそれを基に図面を書きました。

　 本体にはなるべく出っ張りをなくしシンプルに、甲板には持ち込み材の近所で取れたケヤキを使い引き手は全て掘り込みに、大きな抽斗にはスライドレールを組み込んで欲しいというのが主な条件です。右端の空きスペースはゴミ箱の格納のためです。

　 甲板厚は４５ミリ。長さのない厚板でしたので見付きの木目は合いませんでしたがトップの木目は揃うよう板をはぎ合わせています。その他の主材はナラ、棚板の羽目と抽斗内箱はホオ、背板はシナの5.5ミリ、抽斗内部の地板も食器収納は荷重がかかりますので同じ厚みの合板を使いました。

　下は一度目の塗装後の様子です。框組の箱物は無垢板の動きを枠の内部で吸収できますから板組みほど外寸の変化や割れを心配する必要の少なさにメリットがあります。抽斗を下から支える桟にしても束に直接固定できますから強度も出しやすいですし。

　今回の扉はご希望があって下部に小さな戸車を仕込んでいます。V型のレールを使えば加工は少し楽できるのですがVレールの欠点は地面と間に隙を作らなくてはならないことで食器を収める収納ならほこりの進入は避けたいですから通常通り溝を切ってホゾ欠きしたものにしました。