設計事務所さんからの材・図面支給の仕事、以前センという木で押入れ箪笥をご注文頂いたお客さんからお身内の方への贈り物ということでご依頼があったそうです。ただし今回の分は必ずしも押入れの中で使わないかもしれないという事情から材は堅木に変えて多少見てくれもそのつもりで気にして欲しいとのことでした。

　お預かりした材は３種。クリ・キハダ・サクラで色気のばらつきは了解済みとのことです。この箪笥はキャスター付きで移動を想定しているため比較的重さのある材で板厚があると扱いが大変です。ですから今回の使用材は仕上がりで全て２０ミリ。背中の広がり止めは背板の合板を釘で止めることに拠って確保できますが抽斗の収まる前面の横桟のホゾがそのままではかなり短くなるため抜けの不安もありますから帆立板内側に１２ミリの薄板を足し増しして長いホゾのさせるようにしてあります。そのほうが見た目も安定しますし歪み止めの強度出しにも有効だと思います。

　上は抽斗加工の様子です。中板に使ったのはモミという木です。今回のは全て柾目板なので楽だったのですが板目は冬目がプラスティックのように堅いので削るには厄介な木です。その堅い板目部が擦れ桟の上を滑るわけですから磨耗には強いということです。

　下は本体内部。抽斗の奥行きが深いのでトリマーで溝を切ってそれに桟をかませてズレ落ちを防ぎます。またこの擦れ桟は通常より大きく取って本体サイド部分の板の反りを抑える機能を持たせます。